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<「漢字の学習の大禁忌は作輟なり」・・・「作輟(サクテツ)」:やったりやらなかったりすること・・・>

<漢検1級 27-③に向けて その51>
●ちょっと古くさいけど「金色夜叉」・・・
●目標は80%(24点)以上・・・・。
●文章題㉒:次の文章中の傍線(1~10)のカタカナを漢字に直し、傍線(ア~コ)の漢字の読みをひらがなで記せ。(30) 書き2×10 読み1×10
「金色夜叉」(尾崎紅葉)
ー第七章ー
「・・・ 熱海は東京に比して温きこと十余度なれば、今日漸く一月の半ばを過ぎぬるに、梅林の花は二千本の梢に咲き乱れて、日に映ろへる光は(1)レイロウとして人の面を照し、路を埋むる幾斗の清香は凝りて(ア)掬ぶに堪へたり。梅の外には一木無く、処々の乱石の低く横たはるのみにて、地は坦らかに(2)センを(イ)鋪きたるやうの芝生の園の中を、玉の砕けて迸しり、(ウ)練の裂けて飜る如き早瀬の流ありて横さまに貫けり。後に負へる松杉の緑は麗かに霽れたる空を攅(さ)してその頂に方(あた)りて(エ)懶げに懸れる雲は眠むるに似たり。習(そよ)との風もあらぬに花は頻りに散りぬ。散る時に軽く舞ふを鶯は争ひて歌へり。
宮は母親と連立ちて入り来りぬ。彼等は橋を渡りて、船板の牀几を据ゑたる木の下を指して緩く歩めり。彼の病は未だ快からぬにや、薄仮粧したる顔色も散りたる葩のやうに衰へて、足の運びも怠(たゆ)げに、動ともすれば頭の(オ)低るるを、思い出しては努めて梢を眺むるなりけり。彼の常として物案じすれば必ず唇を咬むなり。彼は今頻りに唇を咬みたりしが、・・・ 「御母さん、どうしませうねえ」
・・・」
ー続金色夜叉ー
「・・・彼は己の死ぬべきを忘れて又起てり。駈け寄る岸の柳を潜りて、水は深きか、宮は何処に、と葎の露に踏み滑る身を危くも淵に臨めば、鞺鞳と瀉ぐ早瀬の水は、駭く浪の体を尽し、乱るる流の文を捲いて、眼下に幾個の怪しき大石、かの鰲背(ごうはい)を聚めて丘の如く、その勢ひを拒がんと為れど、触るれば払ひ、当れば飜り、長波の邁くところ滔々として破らざる為き奮迅の力は、両岸も為に震ひ、坤軸も為に轟き、蹈み居る土も今にや崩れなんと疑ふところ、衣袂の雨濃やかに灑ぎ、(3)ビンパツの風 転た急なり。
あな(4)スサまじ、と貫一は身の毛も弥竪ちて、縋れる枝を放ちかねつつ、看れば、(カ)叢の底に秋蛇の行くに似たる径有りて、ほとほと逆落しに(5)ケンガイを下るべし。危き哉と差し覗けば、茅葛の頻りに動きて、小笹棘(おざさうばら)に見えつ隠れつ段々と(6)スベり行くは、求むる宮なり。
その死を止めんの一念より他あらぬ貫一なれば、かくと見るより心も空に、足は地を踏む(7)イトマもあらず、唯遅れじと思ふばかりよ、(キ)壑間の嵐の誘ふに委せて、驀直(ましぐら)に身を堕せり。
或ひは(ク)摧けて死ぬべかりしを、恙無きこそ天の佑けと、彼は数歩の内に宮を追ひしが、流に浸れる巌を渉りて、既に渦巻く滝津瀬に生憎! 花は散りかかるを、 「宮!」 と後に呼ぶ声残りて、前には人の影も在らず。
咄嗟の遅れを天に叫び、地に号(わめ)き、流に悶え、巌に狂へる貫一は、血走る眼に水を射て、此処や彼処と恋しき水屑を(ケ)覓むれば、正しく浮木芥の類とも見えざる物の、十間ばかり彼方を揉みに揉んで、波間隠れに推し流さるるは、人ならず哉、宮なるかと瞳を定むる折しもあれ、水勢其処に一段急なり、在りける影は弦を放れし箭飛びを作して、行方も知らずと胸潰るれば、忽ち遠く浮き出でたり。
嬉しやと貫一は、道無き道の木を攀ぢ、崖を伝ひ、或ひは下りて水を踰え、石を躡み、巌を廻り、心地死ぬべく(8)ロウソウとして近づき見れば、緑樹蔭愁ひ、潺湲 声咽びて、浅瀬に繋れる宮が骸よ!
貫一は唯その上に泣き伏したり。
・・・
「宮、待つてゐろ、俺も死ぬぞ! 貴様の死んでくれたのが余り嬉しいから、さあ、貫一の命も貴様に遣る!来世で二人が夫婦に成る、これが結納だと思つて、幾久しく受けてくれ。貴様も定めて本望だらう、俺も不足は少しも無いぞ」
さらば往きて汝の陥りし淵に沈まん。沈まば諸共と、彼は宮が屍を引起して背(うしろ)に負へば、その軽きこと一片の紙に等し。怪しと見返れば、更に怪し! (9)ホウフン鼻を撲ちて、(10)イチダの白百合大いさ人面の若きが、満開の(コ)葩を垂れて肩に懸れり。・・・
不思議に愕くと為れば目覚めさめぬ。覚むれば暁の夢なり。・・・」
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(1)玲瓏 (2)氈 (3)鬢髪 (4)凄(凛・凜) (5)懸崖 (6)辷 (7)遑(暇) (8)踉蹌 (9)芳芬 (10)一朶
(ア)むす (イ)し (ウ)ねりぎぬ (エ)ものう (オ)た (カ)くさむら (キ)たにま (ク)くだ (ケ)もと (コ)はな(はなびら)
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