漢検1級 27-③に向けて その22  文章題訓練④

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<「漢字の学習の大禁忌は作輟なり」・・・「作輟(サクテツ)」:やったりやらなかったりすること・・・>
<漢検1級 27-③に向けて その22>

●文章題④も「地獄変」(芥川龍之介)からです。
●今回は、難度からしたら、前回よりは易化・・・85%(26点)以上ほしいところ・・・・。制限時間は5分ぐらいか(^^)

●文章題④:次の文章中の傍線(1~10)のカタカナを漢字に直し、傍線(ア~コ)の漢字の読みをひらがなで記せ。(30) 書き2×10 読み1×10
「・・・地獄変の(1)ビョウブと申しますと、私はもうあの恐ろしい画面の景色が、ありありと眼の前へ浮んで来るやうな気が致します。
 同じ地獄変と申しましても、良秀の描きましたのは、外の絵師のに比べますと、第一図取りから似て居りません。それは(2)イチジョウのビョウブの片隅へ、小さく十王を始め(3)ケンゾクたちの姿を描いて、あとは一面に(4)グレン大グレンの猛火が剣山(5)トウジュ(ア)爛れるかと思ふ程、渦を巻いて居りました。でございますから、唐めいた冥官たちの衣裳が、点々と黄や藍を(イ)綴つて居ります外は、どこを見ても(6)レツレツとした火焔の色で、その中をまるで(ウ)卍のやうに、墨を飛ばした黒煙と金粉を(エ)煽った火の粉とが、舞ひ狂つて居るのでございます。
 こればかりでも、随分人の目を驚かす筆勢でございますが、その上に又、(オ)業火に焼かれて、転々と苦しんで居ります罪人も、殆ど一人として通例の地獄絵にあるものはございません。何故かと申しますと良秀は、この多くの罪人の中に、上は(7)ゲッケイ雲客から下は乞食まで、あらゆる身分の人間を写して来たからでございます。束帯のいかめしい殿上人、五つ衣のなまめかしい青女房、珠数をかけた念仏僧、高足駄を穿いた(カ)侍学生、細長を着た女の童、(キ)幣をかざした陰陽師・・・数へ立てて居りましたら、とても際限はございますまい。兎に角さう云ふいろいろの間が、火と煙とが逆捲く中を、(ク)牛頭馬頭(8)ゴクソツに虐(さいな)まれて、大風に吹き散らされる落葉のやうに、紛々と四方八方へ逃げ迷つてゐるのでございます
・・・それが良秀の娘だつたことは、何もわざわざ申し上げるまでもございますまい。が、その晩のあの女は、まるで人間が違つたやうに、生々と私の眼に映りました。眼は大きくかゞやいて居ります。頬も赤く燃えて居りましたらう。そこへしどけなく乱れた袴や(ケ)袿が、何時もの幼さとは打つて変つた(コ)艶かしささへも添へてをります。これが実際あの弱々しい、何事にも控へ目勝な良秀の娘でございませうか。――私は(9)ヤり戸に身を支へて、この月明りの中にゐる美しい娘の姿を眺めながら、(10)アワただしく遠のいて行くもう一人の足音を、指させるもののやうに指さして、誰ですと静かに眼で尋ねました。・・・」(「地獄変」(芥川龍之介))
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(1)屏風 (2)一帖 (3)眷属(「眷族」でも可か) (4)紅蓮 (5)刀樹 (6)烈々 (7)月卿 (8)獄卒 (9)遣 (10)慌
(ア)ただ (イ)つづ (ウ)まんじ (エ)あお (オ)ごうか (カ)さむらいがくしょう (キ)みてぐら(「ぬさ」でも可か) (ク)ごずめず (ケ)うちぎ (コ)なまめ

(注)「蒼・窘・躁・遑・遽」はぜんぶ「あわただ(しい)」だから、ブブーッ(×)「慌」だけが、「慌ただしい」なのだリン・・・。「粱ただしい・泡ただしい・沫ただしい」は絶対にブブブーッ(×××)

<追記(20151119)>「遑」「遽」には「あわ・てる」という動詞があるので、「あわ・ただしい」という送り仮名での漢字としてもOKになるかもしれません。現行の訓読み表示ではこの2漢字とも「あわただ・しい」となっていますが、内閣訓令・告示「送り仮名のつけ方」を参考にすると、これらは「あわ・ただしい」でも認められる可能性があると考えます。
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