故事成語類 「汗牛充棟」・・・無益な書物が一杯・・・

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「新・手賀沼散歩」シリーズの<音訓(学習)><漢字修練(読み・書き)>だけでは、カバーできない内容も含めて、雑記風に、たまにはくだけた話や問題なども載せていきたいと思います。不定期記載ですが、雑知識・情報としてご活用ください。

●四字熟語でも有名な「汗牛充棟」・・・ほとんどの解説は、大体、「蔵書が非常に多いことのたとえ。また、多くの書物。」。
●でも、出典の、「陸文通先生墓表」(柳宗元)をよく読むと、「私の書斎は汗牛充棟の状態なんです」とか「汗牛充棟の書物に囲まれて過ごしています」とかなんて、恥ずかしくて言えなくなるかも知れませんよお~(^^;)
●全文は大変なので、最初の部分のみ・・・
「孔子、春秋を作りてより千五百年。名を以て伝を為る者五家、今其の三を用う。觚牘り、思慮を焦がし、以て論註疏説を為る百千人。攻訐很怒し、辞気を以て相撃排冒没する者あり。其の書たるや、処れば棟宇に充ち、出ずれば則ち牛馬に汗す。或いは合いて而して隠れ、或いは乖きて而して顕わる。後の学者、老を窮め、気を尽くし、左に視、右に顧み、其の本を得る莫し。則ち其の学ぶ所を専らにして、以て其の異なる所を呰り、枯竹に党し、朽骨を護りて、以て父子傷夷し、君臣詆悖するに至る者、前世に多く有り。甚だしいかな、聖人の知り難きや・・・」

<要旨>古来、孔子の春秋を解釈する者多く、觚牘(コトク:木竹の簡)に思慮を焦がして苦労して、さまざまな注釈を行った千人もの学者がいる。それらは、ねじくれた根性の持ち主で、人の説を非難するばかりか、隠事をあばいていきまき、言葉を荒げて、他をないがしろにする。その著作たるや、莫大な量にのぼり、家に蔵書すれば「棟宇に充ち」、よそへ移転するとなると「牛馬に汗を流させて」運ばねばならないほどである。孔子の本意に合致している本でありながら世に埋もれているものもあれば、逆にまったく相反した意を説きながら世に名高い書物もある。後世の学者は生涯、右を見、左を見して、懸命に研究しても、結局は孔子の本来の考えをつかむことはできない。ただいたずらに、自分の専門ばかりをふりかざし、異説をそしり、古い書をかつぎ上げ、死んだ人間の説を後生大事に護って、挙句の果ては、父子や君臣の間でさえ自説に固執して他を傷つけあい、背をむけあうという次第である。聖人孔子の本旨を知るに、何と容易でないことよ・・・」(例によって、大体、平凡社「中国の故事と名言500選」から抜萃)

●墓表の趣旨は、柳宗元が、陸文通が孔子の本来の意思をくみ取った立派な春秋学者であったこと、しかし実際に政事に及ぶ前に逝去されたこと、我々(柳宗元たち)は孔子の書をよく注釈すること、先生(陸文通)の功績をたたえて「文通先生」と諡する、というもの。

●ハハハ・・・、このとおり、原文では、いたずらに他をけなし自らを良しとする無益な書物が、世に多く残されていることを悲しむ言葉だったようですよお~(^^)

●これからは、ちょっと「汗牛充棟」なんて熟語を、迂闊には使えないかも知れませんねえ(^^)

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