松陰全集第9巻

<全集第9巻から>
・・・連亙(れんこう)皆山にして、山巓迄墾闢(こんへき)して畠となす。:墾闢=開墾
此の間多く秋栗を種(う)う挿秧(そうおう)後に種ゑて、西成(せいせい)時に穫(か)ると云ふ:西成:秋は万物の熟すること、五行説で秋は西にあたることから。

・・・唯、僵樹(きょうじゅ)破家及び堤防の決する、田の淤塞(おそく)する、処として見ざるはなし・・:倒れた木、泥でふさがること

・・・時々小舟にて遊釣(ゆうちょう)して:(略)
・・・その士風にや、閑適(かんてき)斯くの如し:心静かに楽しむさま。広辞苑にもあり。
・・・長崎港に来りて下碇(かてい)す:投錨、碇泊

牢晴(ろうせい):空が穏やかに晴れること
・・・笨車(ほんしゃ)に乗り、暁を破って発す:粗末な車、粗末な駕籠
・・昔姦賊国均(こっきん)を秉り、至尊蒙塵(もうじん)して海浜に幸したまふ:国権におなじ。天子が難を避けて都をのがれること
・・・川口は沙淤(さよ)にして往々舟を傷つく:砂とどろが堆積して
  淤:オ、、どろ、おり、ふさ(がる)
・・・区画井井(せいせい)・・・広辞苑:①物事が整って秩序あるさま 井然 ②きよく静かなさま。変わらないさま

・・・馬埒(ばれつ?)は即ち学校の後にあり: ラチ、ラツ、かこ(い):馬場のこと  *「字通」にもこの「レツ」の読みはありません・・・「ばらつ」ではないでしょうか?
・・・独り修理が事に於いて塗餬(とこ)曖昧する者は・・・:事をいいかげんにしてごまかす
・・・(ある書物を)校讐(こうしゅう)する・・・=校合(きょうごう・こうごう)、校書(こうしょ・きょうしょ)
・・・毎朝稽古場へ罷り出で、刺撃(しげき)をもって運甓(うんぺき)の戯れにかへ・・・:刺撃:武器で突き刺したり切ったりすること
運甓:からだを強健にするために運動して努力すること。晋の陶侃(とうかん)が、体力を強くするために、毎朝、甓(しきがわら)を百枚ずつ運び出し、夕方にはそれを運び入れたといこう故事から。(注)「全集」では「運動のために甓(かめ)を運ぶ」となっているが「かめ」ではなく「かわら」なので「全集」の註解の方が誤りだと思う。
・・・郡吏の貪涜(どんとく)を深く悪(にく)み・・・:欲が深くて職務をけがすような不正行為をすること

・・・鋤犂(じょり)親(みずか)ら するを以て農事尤も精(くわ)しく・・・:すき    (注)「じょれい」と振っているものもあります。
・・・其の他千万の言語は、八十一鱗に至ると雖も、苟も一睛を點ずるに非ずんば、遂に是れ真に非ざるなり:説明略。画竜点睛。画竜の鱗は八十一鱗という。
・・・加脚(かきゃく)の一著を為せるのみ
加脚:後漢・光武帝の学友であった厳光(厳子陵)が帝の腹の上に足を置いた故事から
・・・この詩を録呈す。木桃(ぼくとう)笑ふべきなり・・・:木桃:山杏子の異名。ここでは粗末な贈物の意。「我に投ずるに木桃を以てせば、これに報ずるに瓊キョ(玉へんに居)を以てせん」(詩経)
・・・霊鳳胡為(なんす)れぞ気羶(きせん)を啄ばまんや:なまぐさい臭いのする肉
・・・檻車軋軋(あつあつ)として東に向かいて去り・・・:車がぎしぎしとして音を出して進みにくいさま